寝起きの肩こりの原因と対策|枕は変えるべき?おすすめの寝姿勢・ストレッチも
寝起きに肩が凝っていませんか?それは寝返り不足が原因かもしれません。今回は、寝起きの肩こりの原因や対策法を紹介します。体に合った枕の選び方や、肩こり解消ストレッチも紹介するので、参考にしてみてくださいね。
目次
寝起きの肩こりに悩んでませんか?
しっかり睡眠を取ったのに「朝起きるといつも肩が重い」と悩んでいませんか?それは、睡眠環境の悪さが原因かもしれません。今回は、寝起きの肩こりの原因や対策法をはじめ、簡単にできるストレッチも紹介します。
當銘梨沙先生
柔道整復師
肩こりなど体に症状を感じるとき、その直前の行動(姿勢)が原因となることが多いです。 寝る前はそんなに気にならないけど、寝起きに肩こりを感じているときは、寝ているときに何かしらの原因があるはずです。
寝起きの肩こりの原因とは?
ぐっすり寝たはずなのに、寝起きの肩こりがひどい原因は何なのでしょうか。肩こりは悪化すると、頭痛やめまいを引き起こす恐れもあるので、原因を知って、早めに対策しましょう。ここでは、寝起きの肩こりの主な原因を紹介するので、自分に心当たりがないか確認してみてください。
名倉直重先生
整形外科医
年齢層や性別にもよりますが、多くの日本人が十分な睡眠満足度を得られていないという調査が多々あります。人生のおよそ3分の1を占める睡眠時間ですから出来るだけ睡眠の質を高めたいですね。スマホを見ながら寝るなど睡眠直前の不良姿勢は睡眠の質に大きく影響しそうです。
①枕やマットレスが合ってなく、寝返りがしにくい
寝起きの肩こりの主な原因は、枕やマットレスが合わず、寝返りがしにくくなっているからです。人間は、背中や首など同じ部位に体圧がかかって血行が悪くなるのを避けるために、生理的に寝返りをうつといわれています。
しかし、高い枕や固いマットレスなど身体に合わない寝具を使っていると、寝返りがしにくくなり、片方の肩に体圧がかかって肩こりを発症しやすくなります。今の寝具で寝返りをうちやすいか、寝る前に体の向きを左右に動かしてみて確認してみて下さい。もし違和感があれば、寝具を買い替える方がよいでしょう。
當銘梨沙先生
柔道整復師
今の寝ている環境(枕やマットレス)が自分の体に合っているかを確認することが大切ですね。寝る準備を万全にしても寝ているときは自分がどのような寝方をしているかを自分では気づけないと思います。
②寝る姿勢が悪い
寝起きの肩こりは、寝る姿勢が悪さも原因です。寝るときの理想の姿勢は、立っている状態と同じ姿勢と言われています。上を向いてまっすぐ寝るうつ伏せがおすすめです。身体の一部分に長時間体圧がかかると肩こりは悪化するので、うずくまって横寝をしたり、両手を上げてバンザイ寝をしたりする人は、すぐにやめた方がよいでしょう。
③冷えによる血行不良
冷えで血行不良になるのも、寝起きの肩こりの原因です。身体が冷えていると、血管が収縮したり、筋肉が緊張して硬くなったりします。血行不良も起こしてしまい、寝起きに肩こりを感じやすくなります。寝る前に布団の中で凍えることがある人は注意です。夏はクーラーの温度を下げすぎず、冬は暖房を入れるようにして適切な室内温度を保ちましょう。
寝起きの肩こり対策法①枕・マットレスを変える
寝起きの肩こりの原因からさらに深掘り、対策法を3つ詳しく紹介します。まず1つ目の対策法は、枕やマットレスを変えることです。快眠して寝起きの肩こりを防ぐために、身体に合う枕・マットレスの選び方を紹介します。
体に合う枕の選び方
寝起きの肩こり対策には、適切な枕選びが大切です。寝る姿勢の善し悪しを決めるのは、枕が70%だといわれています。寝起きの肩こり解消のために、体に合う枕の選び方を参考にしてください。
- 寝返りがしやすい
- 横向きで寝た時に首の骨が頭から背中まで直線になる
- 仰向けの時にゆるいS字を描く高さ
仰向けのときにゆるいS字を描ける高さは、鼻から顎の角度が約5度、頭と肩甲骨を直線で結んだときの角度が10~15度のときです。この角度になる枕を選ぶには、仰向けの状態で首とマットレスにどれくらいの隙間があるかを確認しましょう。確認方法は、壁に背中をつけて立ち、壁と首が一番離れているところの長さを測ります。
首とマットレスに隙間があると、睡眠中に頭の重さが分散しにくくなり、肩こりを生じやすくなります。枕を変えても隙間ができる場合は、タオルで埋めるのもおすすめです。
名倉直重先生
整形外科医
頚椎の前弯(前に弯曲する並び)を保つような寝方が大切です。枕が高すぎたり低すぎたりすると前弯が保てず、首の筋肉に余計な負荷がかかります。特にうつ伏せ寝は首への負荷が大きく、腕や手指の痛みやしびれといった神経症状も出るリスクがあるため危険です。
体に合うマットレスの選び方
マットレスの幅や硬さも、寝返りのしやすさや寝る姿勢に影響を与えます。適切なマットレスを選び、寝起きの肩こりを和らげましょう。体に合うマットレスの選び方は以下です。
- 適度な硬さがある
- 仰向けで左右に肩幅✛20cmのゆとりがある
- 仰向けのときに立ったときと同じ姿勢になる
- 横向きのときに下側の肩が沈み込む
マットレスは、体圧を分散し身体への負担を軽減させる役割を果たします。ただし、硬すぎても柔らかすぎても体圧がうまく分散されないので、適度な硬さを選ぶことが大切です。硬すぎるマットレスは、低反発で横向きになったときに下側の肩が沈まずに、肩周辺の筋肉が緊張しやすくなります。一方柔すぎるマットレスは、身体が沈み込んで寝返りがしにくくなります。
硬いマットレスの方が理想の寝姿勢に近いと言われますが、床で寝るような感覚に慣れず寝づらいと思う人もいるでしょう。背中や首などの身体に負担をかけずに寝返りをしやすくするには、ポイントを押さえつつ、自分に合った適度な硬さを選ぶことが大切です。
寝起きの肩こり対策法②寝る準備を万全にする
寝起きの肩こり対策には、寝る準備を万全にすることが有効です。身体が冷えていたり、ストレスが溜まっていたりすると、筋肉の緊張がほぐれず、睡眠の質が低下し、疲労が取れにくくなります。寝起きの肩こりを解消するには、リラックスして疲労を癒して眠りにつくことが1番の近道なのです。ここでは具体的にどのような寝る準備をすべきか、紹介します。
体を温める
寝起きの肩こり対策として寝る前に大切なことは、体を温めることです(※1)。お風呂はシャワーではなく、できるだけ湯船に浸かると血行促進につながります。約40℃のお湯に肩まで浸かるのがおすすめです。また、寝室の室温を適温に保ち、お風呂から出た後も体が冷えないようにしましょう。
リラックスする環境を整える
寝る前にリラックスすることも、寝起きの肩こり対策になります(※1)。寝る前にリラックスした環境を作ることで、副交感神経が優位になり、睡眠の質も高まります。寝る2〜3時間ほど前から、スローな音楽を聴いたり、アロマを焚いたりして、リラックスする環境を作りましょう。
定説ですが、寝る前のスマホやタブレットは勿論NGです。スマホやタブレットに夢中になっていると、交感神経が優位になって、眠れなくなってしまうためです。さらに、寝る前に強いストレスを感じている場合も、血行不良や筋肉が緊張して、睡眠に悪影響を及ぼします。
寝る前には気分転換を心がけて、スマホやタブレットの使用は避け、リラックス体制を作りましょう。ストレッチをして緊張した筋肉をほぐすのもおすすめです。
寝起きの肩こり対策法③寝る姿勢に気を付ける
寝起きの肩こり対策として、寝る姿勢に気をつけることも重要です。睡眠中に、背中や首など身体に負担がかかる寝方は、筋肉が緊張するため、よい姿勢とはいえません。うつぶせ寝やバンザイ寝などが楽に感じたとしても、一時的な場合が多く、症状を悪化させる要因になっている恐れがあります。
ここでは、寝起きの肩こりを和らげるためには、どのような姿勢で寝るのがよいのか紹介します。
『仰向け』がベスト
寝起きの肩こりを防ぐには、仰向けの姿勢で寝るのがベストです。寝るときは、立っている状態と同じ姿勢を保つのがよいといわれています。人間の立ち姿は、背骨がゆるいS字を描いています。横向き寝は背中が丸くなりやすいため、ゆるいS字にはなりません。
うつぶせ寝の場合は、背中は丸くなりにくいですが、息をするために首を横に向けるためS字を描きにくくなります。適切な枕やマットレスを使っていれば、仰向けの状態が最もゆるいS字を描ける姿勢なので、できる限り仰向けで寝るようにしましょう。
寝る姿勢で最もNGなのは「バンザイ寝」!
最もNGな寝る姿勢は、両手を上げた状態で寝てしまう「バンザイ寝」です。バンザイ寝は、肩から腕の血管が長時間伸びて細くなるため、血行が悪くなります。さらに、顎が圧迫されて気道が狭くなるので、睡眠中に緊張した筋肉を再生したり、溜まった疲労物質を代謝するのに必要な酸素が十分に取り入れられなくなります。
バンザイ寝を長時間することで、血行が悪くなったり筋肉が緊張したりして、慢性的な肩こりを引き起こすことになるので、すぐにやめましょう。
名倉直重先生
整形外科医
バンザイ寝は肩関節への負荷がかかったり、腕の神経が圧迫されることで手首が上がらなくなる麻痺(橈骨神経麻痺)が生じることもあるため避けましょう。
寝起きの肩こりを和らげるストレッチ
寝起きの肩こりを解消するには、ストレッチも効果的です。寝る前にストレッチをすることで、自律神経が整って筋肉の緊張を和らげる効果も期待できます。ここでは、寝起きの肩こりを解消するストレッチを紹介します。手軽にできるストレッチなので、ぜひ試してみてください。
①「肩甲骨をはがす」ストレッチ
「肩甲骨をはがす」ストレッチは、肩こりだけではなく、冷えや猫背の改善も期待できます。
- 両肘を曲げて肩より上に上げる
- 手は軽く握って鎖骨あたりに置く
- 両肘を5秒かけて息を吐きながら後ろに引く
- 肋骨から肩甲骨をはがすように強めに寄せる
- 肩甲骨を寄せたまま肘を下げて力を抜く
※1~5を5回繰り返し行います。
腕が上がらない場合には、上がるところまででかまいません。両肘を後ろに引くときには、ゆっくり動かし、肘が下がらないようにしましょう。
②「肩回し」ストレッチ
「肩回し」ストレッチも、寝起きの肩こり解消を期待できるストレッチです。
- 右手で右肩、左手で左肩を触る
- 左右同時に、肩を大きく前に10回まわす
- 左右同時に肩を大きく後ろに10回まわす
肩をまわすときに、肩から手が離れてしまうと、肩の筋肉がほぐれにくくなるので注意しましょう。背中や肩甲骨周辺などの筋肉が温まるまでまわすと、肩こり解消の効果はさらに期待できます。
當銘梨沙先生
柔道整復師
寝起きすぐに肩こりを和らげるストレッチをすることで、すぐに対処する習慣をつけておくと日中の体の使い方も上手にできるので、寝方も改善されていく可能性は十分にあります。
寝起きの肩こり解消は、まず睡眠の質を上げることから
寝起きの肩こりを解消するには、睡眠の質を上げることが大切です。睡眠の質が悪いと、肩こりだけではなく、身体にさまざまな影響を及ぼします。自分に合った枕やマットレスを選び、寝る前の行動や寝る姿勢も見直してみましょう。
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