自転車による膝の痛みの原因は?ストレッチなどの対策や対処法も解説
自転車による膝の痛みの原因を知っていますか?今回は、自転車による膝の痛みの原因を、対処法・対策法とともに紹介します。自転車による膝の痛みの部位別の原因や、痛みが生じにくくなるストレッチ方法も紹介するので参考にしてください。
目次
- 自転車による膝の痛みの原因は?対処法・予防法はある?
- 自転車で膝が痛くなるのはなぜ?
- フォームに問題がある
- サドルやペダルの位置
- 疲労が溜まっている
- 立ち漕ぎ
- 自転車による膝の部位別の痛みの原因は?
- 膝の上下の痛みの原因
- 膝の内側の痛みの原因
- 膝の外側の痛みの原因
- 膝がポキポキなる場合は変形性膝関節症の可能性も
- 自転車による膝の痛みの対処法は?
- アイシングをする
- 湿布を貼る
- サポーターを使用する
- 自転車による膝の痛みの対策法は?
- フォームの改善
- サドルの位置の調整
- ギアの設定の改善
- 使う筋肉を分散させる
- 自転車による膝の痛みを予防法・改善するストレッチは?
- ストレッチ①大腿四頭筋と腸腰筋
- ストレッチ②ハムストリング
- そもそも自転車は膝に悪い?優しい?
- 自転車が膝に優しいと言われる理由
- 一方で自転車が原因で膝が痛くなる場合もある
自転車による膝の痛みの原因は?対処法・予防法はある?
自転車はサドルに体重をかけられる分、膝に荷重がかかりにくいです。しかし、自転車を漕ぐと膝に痛みや違和感を感じる人がいるのも事実です。
膝の痛みは、ロードバイクでサイクリングを楽しんでいる人に生じやすいのですが、日常的に乗っているママチャリやスポーツジムのエアロバイクでも生じることがあります。例えば、立ち漕ぎはサドルに体重を分散できず膝への負担が増し、痛みが生じることもあるのです。
自転車で膝が痛くなるのはなぜ?
自転車で膝が痛くなる際には、膝の特定の靭帯に過度な負荷がかかって炎症を起こしている場合が多いです。
特定の箇所に負荷がかかる理由としては、間違ったフォームやサドル位置の調整不足などがあげられます。筋肉の使い方がアンバランスになっていたり、体重のかけ方が不適切であったりするからです。
立ち漕ぎのような膝に体重が集中し負荷がかかる漕ぎ方も原因になります。
フォームに問題がある
自転車を漕ぐ際に腿の前側の筋肉(大腿四頭筋)ばかりを使って、腿の後ろ側の筋肉(ハムストリング)を使えていないと、膝に負荷がかかり痛みが出やすくなります。
具体的にはサドルにどっかりと座って肘が伸びた状態のフォームでは、膝の動きだけでペダルを漕ぐことになり、膝への負荷が増します。
自転車のフォームは体格や身体の柔軟性などによっても変わるため、絶対的な正解があるわけではありません。自分なりの工夫が必要です。
一例としては、股関節を動かしてハムストリングを使うためには、骨盤を立て背中を軽く丸めて前傾姿勢を取り、肘をやや曲げたフォームにするといいでしょう。
サドルやペダルの位置
サドルやペダルの位置が間違っていることも膝の痛みの原因です。サドルが低すぎて膝関節が股関節よりも高い位置になり、膝を高く上げてペダルを漕ぐ状態になっていると、大腿四頭筋を主に使ってペダルを漕ぐことになり膝への負荷が大きくなります。
サドルの高さは、ペダルが一番下の位置にきたときに、膝が軽く曲がる程度の高さに調整しましょう。この状態なら、大殿筋やハムストリングが使えて、膝に過剰な負荷がかかりません。
またママチャリのような一般的な自転車ではサドルの高さ調整程度しかできませんが、ロードバイクの場合は、ビンディングペダルとシューズを固定するクリートというパーツの位置も調整できます。
膝の内側が痛む人はクリートをシューズの外側に移動させる調整で、外側が痛む人はクリートをシューズの内側に移動させる調整で、痛みを解消できることがあります。
當銘梨沙先生
柔道整復師
自転車に乗っていて膝が痛い場合は長時間漕ぎ過ぎか、自転車の漕ぎ方が悪い、漕ぎ方が悪くなるような体勢になっていることがほとんどです。自分の体に自転車を合わせるように調整しましょう!
疲労が溜まっている
疲労が溜まっていれば、靭帯の炎症も起きやすくなり、痛みが生じることになります。疲労が溜まっているときは無理をせず、安静にすることで痛みが治まってきます。痛みの炎症を抑えるためにアイシングをするのもいいでしょう。
立ち漕ぎ
立ち漕ぎは膝の痛みに繋がりやすい漕ぎ方です。立ち漕ぎの際には、体重が足だけにかかりサドルに分散されないので、膝への負荷が大きくなります。
膝に痛みが生じやすい人は、立ち漕ぎをするのはできるだけ避けましょう。坂を上る際などには体重をかけて立ち漕ぎをするのではなく、ギアを下げペダルを軽く調整することをおすすめします。
自転車による膝の部位別の痛みの原因は?
ここでは膝の痛みの原因について、痛む部位別に解説します。痛みが生じた場合に行うべきストレッチやフォームの改善についても紹介します。
膝の上下の痛みの原因
- 膝蓋腱炎
膝の前側にあるお皿(膝蓋骨)の上下に痛みがある場合は、お皿の上側の大腿四頭筋腱、または下側にある膝蓋腱に炎症が起こっている場合などが考えられます。
膝の上下の腱や靭帯には、膝を伸ばす大腿四頭筋による力がかかるので、何度もペダリングをしている内に負荷に耐えられず炎症が起こります。
膝の上下の痛みを予防するには、大腿四頭筋に頼り過ぎないフォームにすると効果的です。既に解説したハムストリングを使いやすいフォームに改善すると痛みが出にくくなります。
また大腿四頭筋の柔軟性が欠けると膝のお皿がスムーズに動かなくなるので、大腿四頭筋をほぐすストレッチを行うのもいいでしょう。
膝の内側の痛みの原因
- 鵞足炎
膝の内側に痛みがある場合、鵞足炎(がそくえん)の可能性があります。鵞足はガチョウの足の意味です。縫工筋、半腱様筋、薄筋の3つの筋肉が脛骨に繋がっている部分のことで、見た目がガチョウの足に似ていることから名づけられました。
この鵞足が炎症を起こしているのが鵞足炎で、オーバーワークが主な原因とされています。自転車の場合、段階を追ったトレーニングをせずに急に長い距離を走行したり、休息を取らずに長時間漕ぎ続けたりすると鵞足炎になりやすいようです。
鵞足炎予防のためには、まずはオーバーワークを避けることです。太腿の前側や太腿の後ろ側の筋肉のストレッチも効果が期待できます。
膝の外側の痛みの原因
- 腸脛靭帯炎
膝の外側の痛みは、腸脛靭帯炎の可能性が疑われます。腸脛靭帯は、骨盤の上部にある腸骨と脛骨(すねの骨)を繋いでいる長い靭帯です。膝の外側の骨と腸骨靭帯が擦れて炎症を起こすのが、腸脛靭帯です。
クリートの位置が外過ぎたり、角度が内側に向き過ぎていると腸骨靭帯炎になりやすくなります。クリートをやや内側に移動して、角度を少し外向きに調節することで痛みが出にくくなる場合があります。
また股関節が硬いことも原因となるので、股関節を柔軟にするストレッチを継続して行うことで、腸脛靭帯炎を予防することができます。
膝がポキポキなる場合は変形性膝関節症の可能性も
痛みと共に膝が「ポキポキ」「パキパキ」と鳴ったり、「ミシミシ」「ギシギシ」と鳴ったりする場合は、変形性膝関節症の可能性があります。
変形性膝関節症は、膝の軟骨が少しずつすり減り痛みが生じる病気です。悪化すると膝の曲げ伸ばしが困難になることもあるので、上記のような症状がある人は、早めに医療機関を受診することを検討してください。
なお変形性膝関節症を改善する方法として、適度な膝の運動があります。自転車漕ぎは、体重を分散して負荷を少なくして行える運動であるため、変形性膝関節症を治療する際の運動療法として取り入れられています。
ただし負荷が強すぎるのは良くないので、長時間漕いだり立ち漕ぎをしたりはせずに、無理のない範囲で短時間行うようにしてください。
自転車による膝の痛みの対処法は?
膝の痛みの多くは膝周りの靭帯の炎症なので、まずは安静にすることが大事です。炎症が治まり痛みが引くまでは、膝を無理に動かさないようにしましょう。安静にする以外の対処法には、以下のようなものがあります。
アイシングをする
アイシングによって膝の炎症を抑えることができます(※1)。アイスバッグやビニール袋に入れた氷を使って、痛みが生じている個所を冷やします。アイシングをする時間の目安は、15~20分くらいです。
保冷剤を使ってアイシングを行う場合は、凍傷になるのを防ぐため、タオルなどを使って冷えすぎないように調整してください。
湿布を貼る
鎮痛効果・消炎効果がある湿布を貼るのも膝の痛みへの対処法として有効です。湿布には貼ると冷たく感じる冷湿布と温かく感じる温湿布がありますが、効果は変わりません。自分が心地よく感じる方を使えば大丈夫です。
冷湿布と温湿布には、それぞれ冷たく感じる成分や温かく感じる成分が含まれているだけで、実際に患部を冷やしたり温めたりするわけではないからです。
サポーターを使用する
膝の痛みが再び起こらないようにするためには、サポーターを使うのもいいでしょう。サポーターは、膝の余分な動きが抑えることで膝の負担を軽くしてくれます。
當銘梨沙先生
柔道整復師
膝に違和感や少し気になる痛みがあれば休息やアイシングをすること。自転車を漕ぐと痛い・歩いていても痛みを感じるのであれば早めに治療にいきましょう。
自転車による膝の痛みの対策法は?
ここでは膝の痛みへの対策について、痛みが今後起こらないようにする予防法を中心に解説します。膝の痛みの原因のところで解説した内容と重複する点もありますが、復習の意味も兼ねて読んでください。
フォームの改善
フォームについては既に触れたように、膝関節の動きだけに頼らずに、股関節を上手く使うフォームに改造することがポイントになります。
基本的には、骨盤が倒れ過ぎていると膝を上げにくくなり、股関節の可動範囲が狭くなります。股関節の動きが小さく、大殿筋やハムストリングが使えていないことが膝の負担に繋がっている人は、少し骨盤を立てるフォームにすることを意識するといいでしょう。
サドルの位置の調整
サドルの位置についても既に触れましたが、サドル位置が低すぎると大腿四頭筋の力でペダルを漕ぐことになり、膝の負担が大きくなります。
膝の負担を小さくするためには、ペダルが一番下の位置に来た時に膝が軽く曲がる状態にまでサドルを調整しましょう。両足を地面についたときに、軽くつま先立ちになる程度の高さです。
ギアの設定の改善
ギアが重すぎることも膝への負担を大きくします。ギアを軽くして、膝への負担を減らしましょう。平地でも身体が温まるまでは軽いギアで漕ぐことを意識すれば、膝を痛めるリスクを減らせます。
坂を上る際も、立ち漕ぎをして体重をかけてペダルを踏んで無理に上るのではなく、ギアを落として無理なく漕げるようにギアを調整してください。
使う筋肉を分散させる
膝の負担を減らすためには、同じ筋肉を使い続けないように漕ぐことも大事です。漕ぐ姿勢を変えたりポジションを変えたりして体重のかけ方を変えると、使う筋肉も変わります。
シッティングポジションとダンシングポジションを使い分けるのもいいでしょう。ダンシングは、体重を利用する素人のいわゆる立ち漕ぎとは違って、上半身の筋肉も使って漕ぎます。
坂を上るヒルクライムの際も、膝だけに負担をかけなくなるので、ダンシングの技術を身に付けることが膝の負担を減らすことに繋がります。
自転車による膝の痛みを予防法・改善するストレッチは?
ここでは膝の痛みを改善したり予防したりするためのストレッチをご紹介します。普段からストレッチを行い筋肉の柔軟性を高めることで、膝の痛みを軽減したり痛みが起こらないようにすることが可能です。
ただストレッチは筋肉や靭帯に炎症がある状態で行うと、むしろ症状を悪化させる危険性もあります。炎症が起こり痛みが強い時期はストレッチは行わず、安静にしたりアイシングを行ったりして、症状の回復に努めてください。
ストレッチ①大腿四頭筋と腸腰筋
まず大腿四頭筋と腸腰筋のストレッチです。大腿四頭筋には股関節の屈曲と膝関節の伸展の役割があります。腸腰筋は、上半身と下半身を繋ぐ筋肉で、身体のバランスを保つ役割があります。いずれも自転車を漕ぐ際に重要な筋肉です。
- 直立した状態から、右足を前に踏み出す
- 左足の膝を90度曲げ、膝を地面に付ける
- 曲げた左足の足先を上げて手でつかむ
- 足をお尻に付ける
- 20~30秒ほど、3の体勢をキープ
- 左足を前にして右足を曲げる
曲げた足がお尻につかない人は、無理をせずにできる範囲で行ってください。ストレッチを継続することで、少しずつ曲げられるようになります。
ストレッチ②ハムストリング
次に腿の裏側のハムストリングのストレッチです。自転車を漕ぐ際にハムストリングを使うことは膝を痛めないために重要になります。股関節を十分に使ったペダリングのためには、ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチが有効です。
- あぐらをかいて座る
- 右足を前に伸ばす
- 伸ばした右足のつま先に向け両手を伸ばす
- 20~30秒ほどその体勢をキープ
- 足を変え、左足を前に伸ばす
腿の裏側が伸びていることを意識して行ってください。ストレッチ①と同様に無理のない範囲で行いましょう。
そもそも自転車は膝に悪い?優しい?
自転車漕ぎの運動は、基本的に健康に良いものです。膝にも優しい運動であるとされます。一方で、この記事でも解説しているように、膝に痛みを生じてしまうこともあります。自転車は膝にとって良いのか悪いのか解説します。
自転車が膝に優しいと言われる理由
自転車はサドルとペダルに体重の負荷が分散するので、ランニングのような体重が膝に全てかかる運動よりも膝に優しいとされています。実際にリハビリの一環として自転車漕ぎの運動が取り入れられているケースがあります。
ダイエット目的やトレーニング目的で運動する場合も、膝にかかる負担が小さい有酸素運動として自転車はおすすめです。
一方で自転車が原因で膝が痛くなる場合もある
一方で、間違ったフォームやサドル位置の調整ミスで、膝にかかる負担が大きくなる場合もあります。もちろんオーバーワークも膝への負担が大きくなる原因です。立ち漕ぎも膝に体重をかける乗り方なので、負担が大きくなります。
このような膝への負担が大きな漕ぎ方をしていると、本来は膝に優しい自転車であっても、膝の痛みを招くことがあります。この記事で解説した内容に従って、膝の負担が少ない自転車の漕ぎ方をマスターしてください。
自転車による膝の痛みの原因・対策を知っておこう
基本的に自転車は膝に優しい運動です。痛みが生じるケースもありますが、膝の痛みが生じる原因や対策を知っていれば、症状を悪化させることを防げて予防もできます。
立ち漕ぎを避けるだけでも膝への負担は減らせます。この記事を参考にして、膝を痛めることなく自転車を楽しめるようになってください。
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