足三里（あしさんり）は胃腸に効くツボ｜効果がすごい？場所の探し方や押し方も

足三里というツボを聞いたことはあるでしょうか。読み方は「あしさんり」で、昔から健康維持のためによく知られているなツボです。松尾芭蕉も重要視していたといわれる足三里にどのような効果があるのか、場所や取り方、ツボの押し方を紹介します。

私達の体に数多く存在するツボを、自分で的確に見つけるのは難しいと感じていませんか。消化器だけでなく腰や口腔内の不調とさまざまな効果を期待できるツボ、足三里の位置を簡単に探す方法を紹介します。

足三里の正確な位置を見つけるのは難しいと感じる人もいるでしょう。図のように「骨の上」「くぼみ」といった、わかりやすい目印がない箇所に足三里はあります。足三里があるのは、足陽明胃経（あしようめいいけい）という胃に関わる経絡（けいらく）上でコツをつかめば簡単に見つかります。

膝の下・スネの外側に位置し、膝の3寸下にあるのが足三里です。スネより外側の筋肉上部で、陽陵泉（ようりょうせん）というツボの下にあります。紹介する手順にそって足三里を取ってみましょう。

ツボ（経穴）の場所を見つけることを「取穴する」といいます。ツボは体中にあるため、足三里がどこなのかわからないこともあるでしょう。足三里の取り方を紹介します。

足三里を見つけるコツは、足と同じ側の手を膝下に当てることです。膝の皿の下に人差し指を当てると小指の先がちょうど足三里の場所だといわれています。

手の大きさなどで個人差があるため、取穴するのが難しく足三里の場所がわからないときは、スネの骨の外側を下から上になぞってみましょう。指が止まる所から親指の幅ほど外側にあるのが足三里です。

足三里にはどのような効果・効能が期待できるのでしょうか。松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の間は足三里に毎日灸を据えていたという記述が残されています。足に力を出すツボだと考えられていたからです。足三里は夏バテにも効果があり、万能・長寿のツボともいわれています。（※1）

また、現在では結核を予防するため、足三里に毎日灸を使用したときの免疫力の向上を臨床観察する取り組みも海外で行われるほどです。足三里が何に効くのか、体にとってどのような良い作用があるのかを紹介します。

足三里は腹痛や下痢、便秘といった胃腸の不調に幅広く効果が期待できます。それは、足三里が陽明胃経（あしようめいいけい）という胃に関わる経絡上にあるからです。ストレスや冷えなどによる胃腸の不調や状況によっては、嘔吐や嘔気の改善と幅広く効果を期待できます。

足三里は「健脚（けんきゃく）」といい、足を強くするといわれています。「奥の細道」で松尾芭蕉が足三里へのお灸をかかさなかった理由のひとつです。足三里を刺激すると血行が促進され、むくみなどの足の不調だけでなく胃腸も整えることができるのです。

足三里は歯痛の軽減に効くといわれています。ただし、歯痛にツボの効果を期待できるのは、虫歯が原因ではないことが前提です。歯や歯茎の症状に対応するツボは合谷のようにいくつかあり、足三里は食生活の乱れから起こる歯痛を軽減します。

飲みすぎや食べすぎにより、胃が熱を持つと経絡上に影響し歯痛の原因となります。口内の症状に足三里は適したツボです。胃が熱を持つことで起こる歯茎の腫れや口臭、便が硬くといった症状の緩和も期待できます。

足三里には体中の血行促進するといわれています。血行不良はさまざまな不調の原因になり、腰痛もそのひとつです。冷えや血行不良が原因で起こる腰痛は、ツボを刺激し血行が良くなることで改善されます。

足三里はどのように刺激するのがよいのでしょうか。自分でツボを押す方法を紹介します。

足三里の押し方は、基本のツボ押しとほぼ変わりません。足三里を取ったら5秒程度押し、5秒休みます。これを両脚とも10回程度行いましょう。

コツは、脚の中心に向けて押すことです。両手の親指を重ねて押すとやりやすいでしょう。気持ちよいと感じる力加減で行い、飲酒後や食事の直後は行わないようにしましょう。

鍼灸院では、足三里に鍼やお灸をしてもらえます。自分でツボ押しをしても効果は期待できるものの、専門家の見立てによって的確な方法を選んでもらえることはメリットです。足三里だけでなく、症状によって適切なツボの見極めをしてもらえる点でも安心です。

ツボは、老廃物の蓄積が原因で押すと痛みを感じることがあります。また、科学的には証明されていないのの、東洋医学では内蔵と繋がっていると考えられています。そのため、臓器や器官など内臓が不調だと、関連するツボに痛みを感じるといわれます。

すなわち、ツボが痛い時は繋がっている箇所のけがや筋肉の疲労、その他疾病などの可能性が疑われるのです。ツボ押しは気持ち良いと感じる人もいれば激痛を感じる人がいるのは、体の状態に違いがあることも一因です。

足三里は血行不良や口腔内のトラブル、足腰の痛みなど幅広く効果が期待できます。むくみや体の変化に伴う不調に悩みがちな妊婦も足三里は使えるのでしょうか？

妊娠でバランスが崩れ、今までにない不調を感じる人は少なくないでしょう。妊娠中の人も足三里で辛い症状を改善できるのか解説します。

妊娠中に押すことをおすすめできないツボはいくつかあるものの、足三里は正しく理解すれば効果を期待できます。胃など消化器官の不調を正常に導く足三里は、つわりの軽減が期待できます。また、安産のツボとしても使用されることもあります。

ただし、妊娠中はとてもデリケートで普段とは違う状態にあるため、少しでも不安や違和感がある場合は病院で相談することをおすすめします。

松尾芭蕉はおよそ2年間で2400㎞を歩いて旅をしました。旅の重要なお供であり、欠かせなかったのが足三里への灸ともいわれます。それほど体のあらゆる箇所に影響する足三里を、上手に活用して日常をアクティブに過ごしましょう。

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