棘下筋をほぐすストレッチ|硬い原因は?緩める効果やマッサージの方法を解説
棘下筋 (きょくかきん)は肩甲骨と上腕をつなぐ筋肉です。棘下筋が硬いと、腕や肩の痛みやしびれの原因となるので注意が必要です。この記事では、棘下筋のほぐし方を【ツボ押しマッサージ・筋膜リリース・ストレッチ】などに分けて紹介します。棘下筋をほぐすストレッチの効果や硬い時のデメリットも紹介するので、参考にして下さい。
目次
- 棘下筋はどこの筋肉?役割は?
- 肩甲骨から腕の上部につながっている筋肉
- 腕を後ろに引く動作で用いられる
- 棘下筋をほぐすストレッチ5選
- 棘下筋のほぐし方①横向きストレッチ
- ①ストレッチする側の腕を下にして横向きに寝る
- ②下側の肘を90度に曲げる
- ③上側の手で下側の手首付近を掴み、下の手を床に向かって押し下げる
- ④反対側も同様に行う
- 棘下筋のほぐし方②ダウンドックポーズストレッチ
- ①肩幅に足を開く
- ②体をくの字に曲げてお尻を上げる
- ③頭から腰を一直線にして足に近づける
- ④呼吸をしながら20秒から30秒キープ
- 棘下筋のほぐし方③肩甲骨周りのストレッチ
- ①片方の腕を顔の前で90度に曲げる
- ②反対の手を下から絡めて手のひら同士を合わせる
- ③手のひらを合わせた状態で下側に腕を伸ばす
- ④反対側も同様に行う
- 棘下筋のほぐし方④テニスボールを使った筋膜リリース
- ①肩側の棘下筋の位置にテニスボールを当てる
- ②肩甲骨側にテニスボールを転がす
- ③一番痛みを感じるところでゆっくり圧をかける
- ④反対側も同様に行う
- 棘下筋のほぐし方⑤ツボ押しマッサージ
- ①肩甲骨の中央部分の窪みを見つける
- ②外側から内側に向かって3~5秒程度押す
- 棘下筋をほぐす効果はある?硬いとどうなる?
- 棘下筋をほぐす効果
- 棘下筋が硬い時のデメリット
棘下筋はどこの筋肉?役割は?
棘下筋(きょくかきん)はどこにある筋肉で、どのような役割を持つ筋肉なのでしょうか。腕の痛みやしびれが気になる人は、棘下筋が凝り固まっている場合があります。ここでは、棘下筋の位置や役割について詳しく紹介します。
肩甲骨から腕の上部につながっている筋肉
棘下筋は肩の深い位置にある筋肉で、肩甲骨から腕の上部につながっている筋肉です。棘下筋は小円筋、棘上筋、肩甲下筋とともに回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる肩の深層部にある筋肉です。棘下筋は回旋筋腱板の中でも唯一触って確かめられる位置にあります。
腕を後ろに引く動作で用いられる
棘下筋は、腕を後ろに引く動作のほか、肘下を外側や内側に動かすときに用いられる筋肉です。棘上筋を含む回旋筋腱板(ローテーターカフ)は、肩甲骨から上腕にかけてついている筋肉で肩関節を安定させる働きがあります。
運動でいえば、野球のピッチャーが勢いよく腕を振ってボールを投げても肩が抜けないのは、この回旋筋腱板の筋肉群の働きによるものなのです。
棘下筋をほぐすストレッチ5選
棘上筋をほぐして柔らかくする方法には、道具を使うもの、道具がなくてもおこなえるものなどさまざまなものがあります。ここでは、棘下筋残りをほぐして柔軟性をつける簡単なストレッチを5つ紹介します。
肩甲骨付近が凝っている人、肩や腕に痛みがある人は、ここで紹介するストレッチや筋膜リリースを取り入れてください。
棘下筋のほぐし方①横向きストレッチ
肘や腕を安定させて行う横向きでのストレッチです。運動初心者や高齢の人でも簡単に実践できます。
①ストレッチする側の腕を下にして横向きに寝る
ストレッチする側の腕を下にして横向きに寝ます。
②下側の肘を90度に曲げる
下側の肘を頭の下で90度に曲げます。
③上側の手で下側の手首付近を掴み、下の手を床に向かって押し下げる
上側の手で下側の手首付近を掴み、下の手を床に向かって押し下げるようにして上体を起こします。反動をつけて腕を押すと肘を痛めてしまう可能性があるため、反動をつけずにゆっくりと床に押し下げましょう。
④反対側も同様に行う
反対側も同様に行います。30秒1セットを3セット行ってください。
棘下筋のほぐし方②ダウンドックポーズストレッチ
ダウンドックポーズストレッチでは、肩周りだけでなく足や背中全体を伸ばし、血行を促す効果が期待できます。継続して行うことで、肩周りの筋肉の凝りがほぐれ、柔軟性が高まります。
①肩幅に足を開く
肩幅に足を開き、手のひらを少し遠めの床につけます。
②体をくの字に曲げてお尻を上げる
体をくの字に曲げてお尻を上げます。手をついた際に指を広げて手のひら全体で床を押すことでしっかりと肩甲骨や肩関節を動かすことができます。呼吸が止まりやすいため、常に呼吸を止めないことを意識して行いましょう。
③頭から腰を一直線にして足に近づける
頭から腰を一直線にして足に近づけましょう。
④呼吸をしながら20秒から30秒キープ
呼吸をしながら20秒から30秒キープし、ゆっくりと上体を戻します。
棘下筋のほぐし方③肩甲骨周りのストレッチ
立った状態のまま行える、腕を絡めて肩甲骨周りの筋肉を伸ばす簡単なストレッチです。
①片方の腕を顔の前で90度に曲げる
片方の腕を顔の前で90度に曲げます。
②反対の手を下から絡めて手のひら同士を合わせる
反対の手を下から絡めて手のひら同士を合わせます。腕を絡めるストレッチのポイントは、90度に曲げた肘を崩さないことです。手のひら同士が合わない場合は、手の甲同士を沿わせてストレッチを行いましょう。
③手のひらを合わせた状態で下側に腕を伸ばす
手のひらを合わせた状態で下側に腕を伸ばします。伸ばしきったら30秒キープしましょう。
④反対側も同様に行う
反対側も同様の動作を繰り返します。30秒1セットを3セット行ってください。
棘下筋のほぐし方④テニスボールを使った筋膜リリース
100円ショップなどで簡単に手に入るテニスボールを使って、棘下筋の凝りを緩めて軟性を高める筋膜リリースの方法を紹介します。
①肩側の棘下筋の位置にテニスボールを当てる
肩側の棘下筋の位置にテニスボールを当てます。壁と身体でテニスボールを挟みましょう。
②肩甲骨側にテニスボールを転がす
肩甲骨側にテニスボールを転がします。棘下筋は肩甲骨上についている筋肉です。身体を動かしながらテニスボールを転がす際は、肩甲骨から外れないように注意しましょう。
③一番痛みを感じるところでゆっくり圧をかける
一番痛みを感じるところでゆっくり圧をかけ、30秒キープします。肩甲骨上にテニスボールをまんべんなく転がす中で一番刺激を感じる部分がトリガーポイントです。
圧をかける際は、グリグリと強い力で行うと、筋肉を痛めてしまう可能性があります。圧をかける際は、ゆっくり痛すぎない程度の力で圧をかけて筋膜リリースを行いましょう。
④反対側も同様に行う
反対側も同様に行います。
棘下筋のほぐし方⑤ツボ押しマッサージ
ツボ押しで棘下筋を緩め、ほぐす場合は、天宗(てんそう)のツボが有効です。天宗は、肩甲骨上にあるツボで、肩甲骨の中央部分のやや窪んだ場所に位置しています。天宗のツボは、肩や肩甲骨の凝りを緩めて柔らかくし、張りをとるため慢性的な肩こりに効果が期待できます。
①肩甲骨の中央部分の窪みを見つける
肩甲骨を指で触って、中央部分の窪みを見つけましょう。中央部分のやや窪んだ場所が天宗(てんそう)のツボです。
②外側から内側に向かって3~5秒程度押す
天宗(てんそう)を見つけたら、外側から内側に向かって3~5秒程度押します。息を吐きながら、痛気持ちいい力加減で押してください。柔軟性が足りず手が届かないという人は、ツボ押しの道具や他の人に押してもらうとよいでしょう。
棘下筋をほぐす効果はある?硬いとどうなる?
棘下筋が硬くなる原因には、長時間のデスクワークなどによる疲労の蓄積や、腕を使う作業で大きな衝撃がかかることが挙げられます。腕の重さは体重の6%と重く、常にぶら下がった状態のため、肩甲骨から腕にかけて常に負荷がかかっている状態です。
長時間のデスクワークや衝撃の大きい運動を行うことでさらに負荷がかかり、棘下筋を含む肩甲骨周りの筋肉が硬くなってしまうのです。では、棘下筋をほぐして柔らかくするとどのような効果があるのでしょうか。棘下筋が硬い時のデメリットとあわせて解説します。
高林孝光先生
柔道整復師
棘下筋が疲れている場合には、肩を内巻きにして筋肉を伸ばしてストレッチするような疼痛緩和姿勢をとります。筋肉は伸ばすとストレッチ効果で楽になるからです。
棘下筋をほぐす効果
・肩こり・手のしびれの改善
・怪我の予防
・姿勢不良の改善
棘下筋をストレッチや筋膜リリースなどによってほぐすことで、緊張で縮まっていた筋肉が緩み、肩関節の可動域が広がります。その結果、野球やバレーボールなど腕を振り上げることの多い運動競技のパフォーマンスアップや怪我の予防につながります。
ストレッチや筋膜リリースが棘下筋をほぐすことに有効なことは、論文でも発表されています。日本理学療法学術大会で発表された論文によると、肩甲骨を固定して肩関節を水平内転する方法(Cross-body stretch)は棘下筋をほぐす効果が期待できると発表しています。(※1)
Cross-body stretchにより棘下筋の弾性率が低下すると,上肢挙上動作時の肩甲骨外旋角度が増大することが明らかとなった。これより,cross-body stretchが,上肢挙上運動時の肩甲骨運動の改善に有効である可能性が示唆された。
ストレッチが棘下筋をほぐして柔軟性を高め、運動時のパフォーマンス向上や怪我のリハビリに有効な手段と論文でも発表されましたが、そのほかにも肩甲骨にあるツボを刺激する鍼灸や筋膜リリースも棘下筋をほぐす有効な手段です。
高林孝光先生
柔道整復師
水平内転ができないと、痛い方の肩を下にして寝られなくなります。それは痛い方の肩を下にする動作が水平内転だからです。
棘下筋が硬い時のデメリット
・肩や腕にしびれや痛みが出る
・猫背・巻き肩などの姿勢不良になる
・四十肩・五十肩のリスクが高まる
棘下筋が硬くなると、肩関節の可動域が狭くなり、後ろに手が回らない、肩が上がらないなどのリスクが高まります。また、常に肩甲骨周りの筋肉が緊張し、縮んでいる状態になるため、猫背や巻き肩などの姿勢不良につながります。
高林孝光先生
柔道整復師
棘下筋に痛みや筋力低下などがある場合は、座った状態で肘をまっすぐ伸ばし、小指を上にした状態で腕を肩の位置まで上げて、その位置を保ったまま上げた腕を誰かに下に圧迫してもらって痛い場合は異常があります。
棘下筋をほぐして柔らかくしよう
棘下筋は肩甲骨から肩についている筋肉で、ほぐすことによって肩こりや腕のしびれなどの緩和に効果が期待できます。そのほか、運動前の準備運動や怪我のリハビリなどにも有効です。紹介した方法で棘下筋をほぐして柔軟性の高い肩甲骨を手に入れましょう。
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